季節にあわせて決められた物を食す文化を育みましょう

子供たちにとっても集団社会を学ぶ良い機会になります

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行事と食

わが国の年中行事・通過儀礼をながめてみますと、次のようなキーワードに出会います。

 

『邪気』『穢れ』『厄除け』『魔除け』・・・。
これらは、私たちには見えないものの存在を含んでいます。

 

『無病息災』『子孫繁栄』『家内安全』『長寿』『五穀豊穣』『感謝』・・・。
これらは、その見えないものに対する願いと祈りです。

 

お正月に食べるおせち料理も然り、季節にあわせて決められたものを食す文化を育むことは、
子供たちにとっても集団社会を学ぶ良い機会になります。
これらの文化には、先人たちの畏敬や思い、そして数々の知恵が散りばめられているのです。
健やかな心と体を作るためにも、是非このような食文化を取り入れていきたいものです。

 

私の子供時代を振り返ってみますと、一年のスタートであるお正月は色鮮やかな『おせち料理』、
七日には、祖母の『七草薺唐土の鳥が・・・』の囃子唄とともに『七草粥』を、
『お鏡さん(鏡餅)』では『善哉』をいただきます。

 

節分には、市内の神社巡り。そのあとは、子供の頃の私の仕事だった豆まきと、
家族の食べる『豆』の配分をします。

 

ひな祭りの楽しみは、土手のよもぎを摘んで作った『蓬団子』と『ちらし寿司』です。
やがて、神戸の親戚から『いかなごのくぎ煮(関西の春を告げる季節料理です。)』が届き、
食することで春を感じます。

 

・・・そして、除夜の鐘を聞きながら『年越しそば』をすする大晦日まで、
一年中、年中行事を行事食が季節を彩り、しっかりと原風景となっています。

 

たしかに、今よりもずっと貧しかった時代ですが、折々の年中行事が味や匂いとともに記憶の中に刻み込まれており、
心豊かに過ごしてきたことは秘かな誇りです。
そんな私たちの世代の貴い経験を、味わったことを、教わったことを、
次代を担う子供達にまだまだ伝えられるはずです。

 

まずは、年中行事・通過儀礼とともにある、伝統的な日本の食を見直してみましょう。
そこには、『日本人の忘れ物』や『日本人としての誇り』がたくさんあるはずです。
自然の恵みや四季折々の変化を伝える食材を再確認し、
我が家のスローフードを作って、親子で一緒に食卓を囲みましょう。

 

インスタント食品やコンビニ弁当に頼った食生活を送る人々は増えていますが、
それでは季節を食を通して感じることは難しいでしょう。
ましてやその文化を子供たちに伝えることなど困難です。
日頃から自分自身が、季節という節目の食文化に触れることで、教養を深めていただきたいのです。